シンガポールでの会社設立を計画中であれば、
まずは
・どんな事業形態で事業を行うのか
・どんな事業形態での進出が可能なのか
を理解することが必要です。
こちらでは、シンガポールの会社の種類とその特徴について説明しています。
シンガポールでの会社設立をご予定の方は、参考にしてください。
日本国内で、個人で事業を行い、その事業から収入を得る場合、
はじめから法人を設立する必要は、ありません。
事業の規模によって、個人事業主として事業を行うのか、
それとも法人を設立するのかは、事業の規模等を考慮して自由に選ぶ事ができます。
しかし、シンガポールでは、外国人が勝手に個人事業主として事業を行い、そこから収入を得ることはできません。
現地で生活して、収入を得るためには就労許可を取得する必要があります。
就労許可を取得するには、「どこかの企業と雇用契約を結ぶ。」
あるいは、
自身(自社)で法人等の事業体を設立、そこから就労許可を申請する必要があります。
日本と同じように考え、行動してしまうと、法律に反した事をしてしまう恐れもあります。
正しい事業の営み方をきちんと理解する事が大切です。
シンガポールで外国人(外国企業)が事業を営む場合、以下の3つが主な事業形態としてあげられます。
- 現地法人
- 日本の本社に対する支店
- 駐在員事務所
では、それぞれの形態について詳しく見ていきましょう!
3つの事業形態の特徴
1.現地法人
現地法人は独立した、シンガポールの企業形態です。
100%外資での設立が可能です。
また、外国人の取締役のみで、法人設立が可能です。
ただし、取締役のうち1名は、*シンガポールの在住許可を有する人が必要です。
*シンガポール人、シンガポール永住権保有者、シンガポール就労許可保持者を指します。
独立した企業形態ですから、
社名(称号)も親会社と関連を持たせる必要は、ありません。
会計も親会社とは独立し、シンガポールの法律に基づいた決算となり、
シンガポールの税制が適用されます。
現地法人の種類
現地法人には会社法上、いくつかの種類があります。
プライベート・カンパニー Private Company Limited by Shares
最も一般的な法人の形態で、日本でいう株式会社がこちらのプライベートカンパニーにあたります。
日本法人の子会社としてシンガポールで法人を設立する場合、ほとんどがこの形態になります。
株主数が50名以下、公募による資金調達が禁止されています。
なお、プライベー ト・カンパニーのうち、株主が20名以下の個人であるなど、
一定の要件を満たす法人は、
エグザンプト・プライベート・カンパニー(Exempt Private Company )と呼ばれています。
この、エグザンプト・プライベート・カンパニーは、一定の条件のもとで会計監査が免除されたり、
税務上の特典があるなど、中小規模の法人にとって有利な面が多く、
オーナーによる個人出資でシンガポールに進出 した際には、これに該当する場合が多いです。
パブリック・カンパニー Public Company Limited by Shares (公開会社)
株式譲渡に制限はありません。
株式の公募も可能です。上場会社はこちらの形態になります。
上記以外にも、無限責任株式会社(Unlimited Company)という株主が無限の責任を負う会社形態もありますが、あまり一般的ではありません。
多くの日本人、特に個人で出資して会社を設立する場合は、Exempt Private Company Limitedを設立するのが一般的です。
現地法人を設立するメリット
シンガポールに現地法人を設立する一番のメリットは、
シンガポールの低税制の恩恵を受けられると言うことでしょう。
シンガポールの法人税率は17%。
実効税率ベースでは10%程度です。
ただし、タックスヘイブン対策税制や
移転価格税制に関しては、注意が必要です。
その他のメリットとしては、日本に法人があり、
その子会社の位置づけとして、シンガポールに法人を設立する場合、
お互いの法的責任を負う必要がないことがあげられます。
万が一どちらかが債務超過のような事態に陥っても、
法的な責任は、各法人のみが負う事となります。
現地法人に関するデメリット
日本に親会社としての位置づけの法人がある場合でも、
お互いが独立した法人であるため、
シンガポール法人と日本法人との金銭のやり取りについては、
資金貸借として取り扱うなどの検討が必要となります。
また、日本の親会社から送金する場合は、何らかの名目が必要になります。
シンガポール法人が、日本法人に配当として送金する際、
課税される場合もあります。
シンガポールに立ち上げた法人と、日本(または他国)にある本社との関係性が強く、
資金移動等が頻繁に行われる場合などは、
他の業務形態を、検討する必要があります。
2.支店 -Foreign Company
支店とは、外国の法人が他の国で営業する際、
法人格の取得は行わずに、
営業の拠点を、その国に設ける事業形態を指します。
法人格のない事業形態ですから、
全ての責任は、日本の本社が負うことになります。
また、税務申告に関しても、
日本での申告が必要となります。
支店を設立するメリット
シンガポールで損失が生じたとき、本社の所得と相殺して税務申告ができます。
そのため、シンガポールで大きな利益が認められない事業などは、
法人設立をするより、支店の形態をとった方が有利な場合もあります。
また、一般的に現地法人と比べ、
撤退が簡単という点も、メリットとしてあげられます。
資金の移動に関しても、
本店からの送金については、同一会社内の資金移動となるので、
特に制限はありません。
支店に関するデメリット
一番の大きなデメリットは、税制に関してです。
シンガポールで大きな利益が生じた場合でも、
日本の売上として計上する必要があります。
シンガポールの低税率の恩恵を受ける事はできません。
また、支店を設立する際には、
親会社の登記簿謄本などの資料を、英文で提出する必要があるため、
法人設立と比べると設立は、作業量が多く、煩雑と言えます。
3.駐在員事務所-Representative Office
駐在員事務所がシンガポールにて、実施できる業務内容は、
「現地での市場調査」と「本社等への連絡業務」に限定されています。
請求書の発行や支払金の徴収など、金銭が関係する業務のみならず、
契約の交渉や受注、更にはアフターサービスの実施も認められてはいません。
駐在員事務所設立は、
シンガポール国際企業庁(IE Singapore)が管轄しています。
設立の条件として、
親会社が設立後3年以上経過していること、
売り上げが25万米ドル以上であることなどがあげられます。
また、駐在員数も最高で5名未満と定められています。
駐在員事務所は毎年更新の必要があり、
最高で3年間の事務所存続が認められています。
駐在員事務所を設立するメリット
なんと言っても、閉鎖が容易にできることです。
シンガポールでビジネスを行う際の形態を決定していない場合、
あるいは、シンガポールでのビジネスの可能性を探るためには、
駐在員事務所としての進出がお勧めです。
駐在員事務所のデメリット
既に、シンガポールで事業を行うことが決定している場合には、
駐在員事務所としての、進出形態はお勧めできません。
上記でご説明させて頂いたように、
駐在員事務所での営業活動は一切認められておらず、
活動できる範囲が限定されてしまいます。
純粋に市場調査のみを、一時的に行う以外は、他の形態でのシンガポール進出がお勧めです。
その他の形態
シンガポールの会社法には、その他の形態として、
パートナーシップ-Partnership
有限責任パートナーシップ(LLP)-Limited Liability Partnership
リミテッド・パートナーシップ(LP)-Limited Partnership
ビジネストラスト-Business Trust
個人事業体-Sole Proprietorship
等がありますが、
日本から進出してくる、日本人(企業)にはあまり関係が無いので、それぞれの説明は省きます。
シンガポール進出形態比較表
こちらに、それぞれの特徴を表にしてみました。
こちらの表を参考に、ご自身の事業形態に一番あった、進出方法をご検討下さい。
現地法人
|
支店
|
駐在員事務所
|
|
事業活動の範囲 |
自由
|
本店と同一
|
市場調査のみ
|
会社名 |
自由
|
本店と同一
|
本店と同一
|
存続期間 |
永続
|
永続
|
3年
更新が必要 |
法人税の取扱 |
居住法人
として課税 |
非居住法人
として課税 |
申告義務なし
|
監査義務 |
あり
免除の場合あり |
あり
|
なし
|
日本本社の法的責任 |
なし
|
あり
|
あり
|
税務申告の義務 |
あり
|
あり
|
なし
|
本社への損益参入 |
不可*
|
本社に合算
|
本社に合算
|
現地居住者 |
必要
|
必要
|
不要
|
外国人従業員数 |
制限なし**
|
制限なし**
|
最大4名
|
管轄官庁 |
ACRA&IRAS
|
ACRA&IRAS
|
IE
|
*タックスヘイブン税制適用時には、利益のみ本社に合算
**但し、雇用に関しては就労許可取得が必要です。
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