2020年3月から、新型コロナウィルスに翻弄され、
世界中がほぼ鎖国状態となってしまいました。
2020年に移住や親子留学を予定されていた皆さんも、
今年こそはと、計画の練り直しをされているのではないでしょうか。
日本からの留学や教育移住の場合、
学校卒業時や学年の切れ目に合わせた、移動が多いと感じています。
今回は、小学校卒業と同時にシンガポールヘ教育移住する事が、
最善の選択なのかという事を、
実際に教育移住されたお子さんに、
英語サポートレッスンを提供して感じた事をもとにご紹介いたします。
中学入学時期の留学は、もしかしたら一番悪いタイミングかも知れないと思った、3つの理由
今回お話させて頂く内容は、あくまでも
ほとんど英語のバックグラウンドが無いお子様が シンガポールのインター校へ入学した場合です。
英語で授業に参加する事に全く問題が無いというお子様には、あてはまりません。
どうぞ、ご了承ください。
お子様のバックグラウンドについて
事例として取り上げさせて頂いたお子様のバックグラウンドを簡単にご説明いたします。
3月末、日本の小学校を卒業。
その後すぐに、シンガポールへご家族とともに渡航。
5月にインター校へ入学。
(当時は2週間の隔離時期があったので、隔離後学校探しを始めたため、 入学までに1月以上かかりました。)
入学から2年目の2022年8月の新学期は、英語強化クラスに在籍中。
*ELSよりももう少し、英語ができない生徒に特化したクラスです。
日本の小学校では、英語の授業はあったものの、
簡単な英会話が中心で文法等は全く習っていなかったそうです。
最初に”country”の単語も分からなかったのにはびっくりしました。
しかし、お子様の小学校での英語の成績は中より上でした。
学校ではどんな英語の授業を行っていたか、 かなり気になるところです。
本題から少し外れますが、日本の英語教育はあまり当てにならない例をもう一つご紹介します。
以前、当社のお客様で幼稚園の年中から日本のインターナショナルスクールに3年在籍。
小学校での成績は中より上だった、お子さまがいました。
そのお子さまは、シンガポールのインター校入学の際、
成績表からの判断でメインストリームのクラス(一般のクラス)に振り分けられました。
しかし、2週間ほど、メインストリームでのクラスでレッスンを受けてみると、
周りのお子さんとの英語レベルがあまりにも開きがあったという事で、
ELSのクラスでの学習が必要と学校から連絡が来て、
すぐにELSのクラスに変更になってしまいました。
その日本のインターナショナルスクールは、日本では、かなり有名な学校だそうです。
そんな事もあったので、日本で判定された英語のレベルは、
ほぼあてにならないと思った方が良いようです。
今回のお子様に話題を戻します。
コロナ感染者の増加から、 6月に予定されていた、
学校主催のサマースクールが中止になってしまいました。
そのため、ブリティッシュカウンシルのサマーキャンプに申し込んだものの、
内容が英語初心者向けでは無かった為、
授業が全くわからないという事態が発生しました。
新学期から、少しでも英語がわかるようになってほしいという願いもあり、
当社のアレンジによる、オンラインのプライベートレッスンを受けてもらうことになりました。
レッスンを受けて6ヶ月以上経ちましたが、
レッスンの様子をチェックしていると、 色々な問題に気がつきました。
それは、こちらが予想していたより、理解の進度がかなり遅いこと。
他の国の子供達(アジアの国の幼稚園児)や 日本人の低学年の子供と比べても、
進度の遅さが目立っているのです。
家で全く勉強をしていないと言うわけでは無く、
ご家族に確認すると、 本当に毎日頑張って英語の勉強をされているとのことでした。
こちらのお子様が、際だって英語ができないと言うわけではありません。
なのに、なぜ英語取得のスピードが遅いのか。
それには、下記のような理由が考えられます。
小学校卒業と同時に留学するデメリット
シンガポールのインター校に入学されたお子様の、
実際の英語の能力を直接知る機会はとても少ないので、
今回オンラインレッスンの様子をチェックできたのは、
私にとって、とても良い機会でした。
今回の件で気がついた点は、大きく分けると以下の3つになります。
1.日本で全く英語の勉強をしていないので、英文法を理解していない。
この時期の留学移住での一番の問題点は、
英文法がわからないので、英語取得のスピードが遅くなるという事です。
日本では、2020年から公立の小学校で英語の授業が必修化されました。
また、多くのご家庭で英語の重要性を感じているようで、
小さな頃から、英語教室などに参加されているお子さんも多いようです。
以前と比べると、 日本人の子供達も英語に触れる機会が多くなってきていると思います。
ただ残念ながら、これらの学習は、シンガポールのインター校への入学に関しては、
ほぼ役に立たないと思った方が良いです。
シンガポールのインターナショナルスクールは一部の学校を除き、
多くの生徒はネイティブの英語スピーカーです。
英語が全く話せないお子さんは、少数派です。
そして、英語ネイティブのお子さんは、 小学校時代にしっかりと英語の基礎を身につけています。
日本人が国語を学校で学ぶように、 彼等は英語の文法や基礎を小学校時代に学んでいるのです。
以前に、ブログでご説明させて頂いておりますが、
インター校は決して英語を学ぶところではありません。
英語で一般の授業を行うところです。
中学に進んでしまうと、英語の基礎を学ぶ機会はほぼなくなります。
という事は、日本から来て、 中学からインターナショナルスクールに入学してしまうと、
英語の基礎学力を付ける機会が失われてしまうのです。
もちろん、多くのインターナショナルスクールは、 英語補習のクラスを設けています。
でも、これらのクラスはあくまでも補習クラスです。
クラスの授業についていける最低限の英語を学習するクラスになります。
あるインター校のELSの授業を見学する機会があったのですが、
授業のレベルが低すぎて、
本当にこの学校は、
生徒達をメインストリームへ編入させるつもりがあるのかと、
疑問に思えたこともあります。
学校が提供する、 英語補習クラスに過大の期待を寄せるのは危険です。
『小さい学年では、授業で英語の基礎を学ぶ機会はある。
でも、中学校になってしまうと、基礎は既に学んだ前提で授業が進む。』
という事を、念頭に入れておきましょう。
英語補習クラスのメリットとデメリットに関しては、
下記のブログを読んで頂けるとうれしいです。
インターナショナルスクール、英語補修クラスのメリット・デメリット
2.日本語と英語では、文法の組み立てが大きく異なる。
日本人の英語取得速度が 他の国の人と比べて遅い大きな理由の一つに、
二つの言葉の文法の違いがあります。
その中でも特に大きな違いは語順。
小さなお子さんの場合、
文法などを気にせずに感覚で英語を話してしまいます。
ところが、小学校の高学年ぐらいになってしまうと、
日本語の文法構造が、しっかりと頭の中にインプットされているので、
英語を訳したり書いたりする際に、
日本語の文法構造で英語を書いたり、訳したりしようとしてしまいます。
小さな頃、日本語を覚えた時のように、 感覚で英文法を習得するのが一番効率的なのですが、
年を重ねるにつれ、頭の中にしっかりと組み込まれた 日本語の文法構造が、
それを邪魔してしまうのです。
日本語の文法の構造が、英語学習の邪魔をし出すのは、
日本語学習がほぼ取得できた、小学校の高学年ぐらいなのではと考えられます。
そうなると、やはりこの時期にインターナショナルスクールへ編入というのは、
タイミングとしては、あまりオススメはできません。
授業が難しくなるのもこの時期です。
多くの日本人は、英語を一度日本語に訳して理解し、
まずは答えを日本語で引き出す。
その答えを、英語に変換すると言う作業を行ってしまいます。
これでは、時間がかかってしまうので、
一般の授業について行くのが大変なのは無理もありません。
特に中学校ぐらいになると、授業内容が難しくなっていきます。
使われる、文章や英単語も複雑です。
それをいちいち日本語に変換→英語と言うステップを踏んでいたら、
授業についていけなくなるのは、ある意味当たり前かも知れません。
これが、『インターナショナルスクールへの入学は、
できれば感覚的に英語を学べる、頭が柔らかい小さな頃の方がよい。』 と考えた理由です。
3.日本の習慣がしっかりと身についてしまっている。
日本の文化や習慣を身につけることは、
グローバルな世界で生きていく上でも、 とても大切な事です。
ただ、残念な事に現在の日本の教育システムでは、
「みんな同じが良い」 「他の人と違うことをするのは×」
のような考えが根付いているようです。
この考え方は、
多くのシンガポールのインターナショナルスクールの教育スタイルと完全に対極をなしています。
「みんな同じが良い。」
「他の人と違うことをすることは、間違っている。」
という考えを持って、 インターナショナルスクールで、学校生活を送ると、
多分、心地悪さを感じる事が多くなるはずです。
これが、小学校低学年ぐらいであれば、
本来の姿-『みんなと違うことをしてもいいんだ。』 という考えが解き放たれて、
大きく伸びる子供達も多いのですが、
中学校ぐらいになってしまうと、
どうしても、みんなと同じことをするという事が既に習慣化されているので、
「人と違う考えを持つ」とか 「人と違う行動をする」という事に抵抗を感じてしまうのです。
そうなると、
どうしても個人を尊重し、 自己主張が強い他国の生徒達と交わる事が難しくなります。
英語力の問題もあるので、なおさらです。
学校の中でも、 同じ考えを持つ日本人と一緒にいる方が心地良くなってしまい、
自然と日本人だけ、交わるようになります。
もちろん、彼等との会話は全て日本語なので、
せっかくインターナショナルスクールに入学しても、
英語も使う機会はどんどん減っていきます。
こうやって、インターナショナルスクールへ入学したものの、
英語ができないという、悪循環ループに入り込んでしまうのです。
多くの日本人のお子さん(特に中学生になってから入学されたお子さん)が
インターナショナルスクールに入学したものの、
学校で授業がわからないと悩んでいる理由は、
こんなところにあるのかも知れません。
こんな風に考えていくと、英語取得という面だけでは無く、
個性を尊重しつつ、グローバルな視野を持つという意味でも、
できれば小学校の低学年ぐらいまでには、留学や移住を計画するのが望ましいと感じます。
もちろん、高校生や大学生になって、
自分の意思で留学や移住を望むのであるならば、 状況は変わってきます。
今回は、あくまでもご両親と一緒に移住される場合や、
「英語を身につけさせたい」と言う ご両親の希望で留学をされる場合に焦点を当て、
お話をさせて頂いております。
どうしても小学校卒業までは留学や移住ができない場合。
小さなうちからの留学や移住の方が良いことは理解できた。
でも、色々な事情からそれが無理な場合もありますよね。
そんなときに日本で、
これだけは準備したおいた方が良いのではと思った事をこれからお伝えします。
英文法の最低限の基礎は学んでおく
日本の英語教室や小学校の授業はどうやら英会話が中心のようです。
しかも、実際のネイティブとの会話では役に立たないような授業が多いようです。
簡単な日常会話であれば、
英語の環境に身を置けば、なんとなく身についてくるものです。
英会話を日本で学ぶよりもっと大切なのは、 文法の学習です。
文法を理解しているか、そうでないかで、
その後の英語取得速度が大きく異なってきます。
なので、特にお勧めしたいのは、
日本の中学校で学ぶ文法をきちんと学習しておくことです。
中学校までに学ぶ文法を徹底的に理解していれば、日常生活や学校の授業で不便を感じることはありません。
できるだけ多くの英単語に触れておく
また、できるだけ多くの単語に触れて語彙力を付けておくのも大切です。
学校の授業中に少しでも知っている単語があれば、
授業に参加するハードルがかなり下がります。
中学で学ぶ文法を完璧にマスターすれば、
ネイティブと普通に会話もできるし、
そこに語彙力が加われば、一般の授業でも全く問題は無いでしょう。
どこで英語を学習すれば良いか?
ここで、それでは、どこで英語を学べば良いかという問題があります。
正直なところ、一般の子供向けの英会話スクール等はお勧めできません。
大手企業が提供するオンラインの英語教室も、
やはりお子さんにはあまり役に立たないと思っています。
できれば、海外での生活やインターナショナルスクールでの授業に焦点を置いたレッスンを 提供してくれる個人の先生を見つけることをおすすめします。
なかなか難しいとは思いますが、今は世界中がつながっている時代。
きっと最良の先生やレッスン方法が見つかるでしょう。
最後に
今回は、英語が全くできない状態で中学入学時期にシンガポールへ教育移住されてきたお子様の実際の様子から、
この時期の留学はかなり大変だな、
できれば他の時期が良いのでは無いかと言うお話をさせて頂きました。
今回の記事が皆様のお役に立てば幸いです。
今後もシンガポール全般、
そして、当地への母子留学や教育移住などについて、
理解を深めていただけるような発信していきたいと思います。
どうぞよろしくお願いします。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました!
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